明治中期、東京湾埋め立て第1号地として誕生した町、月島では、子供達が出汁で溶いた生地で鉄板に文字を書いて覚えながら食べていた文字(もんじ)焼きと呼ばれるものが流行しました。それが現在のもんじゃ焼きのルーツと言われています。
そして今から約11年前、もんじゃ焼き店28店の店主が集まって地域の活性化と発展を目指し、「月島もんじゃ振興会協同組合」が発足しました。全長約500メートルのもんじゃストリートは、今では約70のもんじゃ焼き店が組合に加入し、月島といえばもんじゃ焼きというイメージをつけることに成功しました。
今回私たちは2014年7月5日に、東京の「月島」舞台として「食」をテーマに「月島もんじゃストリート」を現地調査してきました。お話をして下さった大江戸坂井店主の坂井さんの話によると、年間4~5万人の観光客がここ月島を訪れ、また中学校の修学旅行の企画の一部として利用されることも多く、主に東北や名古屋からの修学旅行生がもんじゃ焼きを食べに来ると嬉しそうに話していました。
そこでもんじゃストリートの外観を観察し、3つの分野(家族向け、社会人向け、学生向け)に分けて、私たちが選んだそれぞれの分野におすすめのお店を紹介したいと思います。
社会人におすすめ-【大江戸坂井】
月島駅の7番出口(通称:もんじゃストリート口)を出てすぐ、「もんじゃ案内所」の左隣にあるのが平成14年創業の「大江戸坂井」です。おしゃれでバーのような店内は落ち着いていてシックな雰囲気があります。
お客さんは社会人の方が主で、夜の接待や商談などで訪れる方も多いそうです。店主の坂井さん(66歳)によれば、接待などで初めて訪れた方がお店を気に入り、また別の商談で訪れることや、口コミによってお客さんが来るのだそうです。
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大江戸坂井のおすすめメニューは一番人気の「ミックスもんじゃ」(1530円)。プリプリのエビをはじめ、豚、ホタテ、イカ、タコと具材がたっぷりの自慢のメニューです。落ち着いた店内で大人もんじゃを楽しみたい方は、ぜひ大江戸坂井を訪れてみてください。
家族におすすめ-【月島】
もんじゃ焼きストリート3番街に位置するこのお店を、家族向けに選びました。明るく落ち着いた雰囲気の店内は、家族で家で食事をしているようなゆったりとした時間が過ごせると感じたからです。 店員の石橋さんのお話によれば、姉妹3人でお店を切り盛りしているそうです。このお店は石橋さんのご両親の代から営業していて、元はお煎餅屋さんだったのを、もんじゃ・お好み焼き屋へ変えたそうです。
このようにもんじゃ焼きの店が軒を連ねる通りで共存していくのはどうですか?という質問をすると「昔は店舗はもっと少なかったが、今は活気があって良いと思う」と笑顔で話して下さいました。「競争というより、お互いに切磋琢磨している感じがある」と語る表情はいきいきとして見えました。 東京オリンピックが近づくと、外国人観光客が増えると予想されるが、そのことについてはお店としても対策をしているそうです。「海外からのお客さんはもともと多いです。焼き方が分からない方にはこちらが焼きます。英語のメニューも置いていますよ」と石橋さん。では、困ることはあまりないということですか、と尋ねたところ、「英語は勉強しようと思っています。簡単な会話くらいは…」と、お茶目に笑いながら話して下さいました。
2014年7月5日、東京都央区月島の店舗にて 松本真季撮影 |
学生におすすめ-【まんまる】
真っ赤なのれんが目印の「まんまる」。店内は照明が明るく、壁にはたくさんの芸能人の方のサイン色紙が飾られていました。私たちがお店に行ったとき、すでに外で順番待ちをしている人がいましたが、お店の回転が早く、私たちも待ち時間5分程度で、入店することができました。このお店は学生さんや、たくさん食べる若い方におすすめです。私たちは実際にここで昼食をとったのですが、他にも数人グループで食べに来ている学生さんたちがいました。
2014年7月5日、東京都央区月島赤いのれんが目印 のまんまるの店舗前にて、中井春花撮影 |
取材・執筆した感想
今回、「食」をテーマとして月島のもんじゃ焼きについて、調査してきました。ただ、おすすめのもんじゃ焼きのお店についてだけでなく、月島の町にもんじゃ焼きが伝わった歴史や、町のことも調べました。町全体を調べることによって、月島の良さを理解することができました。
取材・執筆:中井春花・野口光紀・深水布由実・松本真季・山崎晴香